バークシャーがIBMを部分的に売却した件について

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バークシャーハサウェイがIBMの持株を1/3売却したことがおおきなニュースとなり、IBMの株価は金曜日の朝に2.5%ほど下落しました。
バフェットは

私のIBMに対する評価は、私がIBMを買い始めた6年前と今では違っていて、ある程度下向きに評価が変わっています。IBMは強大な企業ですが、同様に強大な競合相手もいるからです。

と述べたそうです。
ここでいう競合相手とは、おそらくはクラウドコンピューティングで競合するグーグルやアマゾンのことです。もちろんIBMのクラウドコンピューティング事業は、あの有名なワトソンです。

ワトソンは自然言語を理解するようにプログラムされています。
つまり、プログラム言語のように厳密な規則に縛られた記述形式だけでなく、普段我々が使用するような言語を理解することができます。
そのため、プログラム言語で入力した情報だけではなくWebページや書籍など、人間向けに書かれた情報を記憶、解釈し、学ぶことができます。これをCognitive computingと言います。

その能力を使い、ワトソンは2011年、アメリカのクイズ番組Jeopardy!で同番組の優勝経験者相手に大差をつけて優勝しました。
それから6年、ワトソンは密かに僕たちの生活に浸透しつつあります。
IBMによればワトソンは現在45カ国で20もの業種に携わっています。

ワトソンの世界で初めて商用利用は2013年、アメリカの医療保険会社によるものでした。ニューヨークの病院で治療される肺がんの治療方針の決定にワトソンを使用するというものでした。
日々出現する膨大な量の新しい情報を医師が全て把握し、それを個々の患者に適用するというのは膨大な労力を要します。しかしワトソンであれば2011年当時でおよそ百万冊に相当する情報または二百万ページにも相当する量の情報を記憶解析し、それに基づく適切な回答を3秒以内に出すことができました。
したがって医師がワトソンに患者の情報を入力すれば、ワトソンはそれを膨大な知見と照合し、もっとも適切と思われる治療方針や必要な検査を短時間で弾き出すことができます。
もちろんワトソンが近い将来に医師の代わりになるとは思えません。やはり僕たちが人間である以上、人間の医師に診てもらい人間の医師に治してもらいたいと思う気持ちがあるでしょうから。しかしワトソンのようなコンピュータによる診療が一般化した未来では、もしかしたら最近増え始めたスーパーのセルフレジのような診療の形態も現実のものとなるのかもしれません。

ワトソンは農業分野にもすでに進出しています。
カリフォルニアのとあるブドウ農場では30メートルごとに農場にセンサーを設置し、そのデータをワトソンに解析させています。ワトソンはその農場付近の天候やセンサーのデータを解析し、どの区画にどの程度の水が必要かを判定しています。

また、航空産業においてはワトソンは膨大な量のメンテナンス記録を蓄積しています。大韓航空では過去のガイドラインだけではなく、ルーチンには行わない整備記録やちょっとしたノートなど、さまざまなソースからの情報をワトソンに学習させているそうです。そのため、何かのトラブルの際には膨大な資料から目的の情報を探し出すのではなく、ワトソンに助言を求めることで無駄な労力を削減することに成功しました。

他にも、オーストラリアの石油会社で過去のデータをもとに難しい決断を下したり、盲導犬の育成に一役買ったりと、社会の舞台裏ではワトソンは着実にその活躍の場を広げています。

ワトソンがこれらの場で担うべきタスクは共通しています。
それは、過去の経験など膨大な情報を整理し、有機的に結びつけ、そこから得られる知見を人間にフィードバックするというものです。ある意味、「その筋のベテラン」を人工的に作り出すことができる力強い味方ということができるでしょう。
もちろんだからと言ってワトソンは腕のいい外科医の代用にはなりませんし、ワトソンの助言をもとに実際に航空機を整備する人は必要ですし、ワトソンが人間を完全に置換することはないでしょう。

ワトソンをはじめ、急速に進歩するコンピュータ技術の未来を想像するのは非常に難しいです。ただ、かつてソニーがAIBOを発売し、それを飼っていた人が壊れたAIBOのためにきちんと葬儀をあげたというのは象徴的な出来事でした。それは人間が人工知能に対しても生命と同じような愛着を持ち、共存していく能力があるということを暗に示していたのだと思います。

IBMの今後の業績については、一投資家の僕にはさっぱりわかりませんが、人間とコンピュータの関わり合い方が急速に変わりつつあるというのは
間違い無く事実のようです。

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